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当院の取り組み

当院の取り組み

 片麻痺の患者さまが歩行を獲得する上での最初の関門は、麻痺側の足に体重を乗せたときに、膝折れしないでしっかりと支えられるようになるかどうかです。この関門を突破しないと安全に歩けるようにはなりません。膝折れが起きないようにするためには、下肢の筋肉がタイミングよくしっかりと収縮するよう、理学療法での訓練を十分に行う必要があります。

  図(歩行時の筋活動)は健常者における歩行時の筋活動を示したものですが、体重を乗せた瞬間に大殿筋・大腿四頭筋・前脛骨筋が収縮し、膝折れを防いでいます(赤い点線で囲んだ部分)。片麻痺の患者さまはこの部分の筋活動が弱くて膝折れしてしまいますが、麻痺側の足にしっかりと体重を乗せて良好な筋活動を引き出す訓練を行っていくことにより、少しずつ支持性が高まっていきます。麻痺が重度で理学療法士が介助しても膝折れが起きてしまうような場合には、足先から股関節まで金属支柱が付いた長下肢装具を使用して立位・歩行訓練を行うこともあります(図:長下肢装具)。

 図(歩行時の筋活動(左片麻痺))は重度の左片麻痺の患者さまが歩行訓練を行っているときの大殿筋と大腿四頭筋の筋活動(表面筋電図で測定)です。左の図では長下肢装具を使用して理学療法士に支えてもらいながら歩行していますが、麻痺側の下肢に体重を乗せたときの大殿筋・大腿四頭筋の筋活動(緑の点線で囲んだ部分)が認められていて、筋再教育訓練がしっかりと行われていることが分かります。ただこの時点では、麻痺側・健康側が同時に収縮してしまい、歩行動作としては不完全な状態です。  
  2週間後(右の図)、麻痺側と健側の筋が交互にリズミカルに収縮するようになり、より健常者に近い歩行パターンに近づいてきています(右の図の点線で囲んだ部分:オレンジが麻痺側、青が健側)。  
 リズミカルな歩行パターンを獲得した後は、日常生活の中で歩行距離を伸ばし、耐久性を付けていくとで、実用的な移動手段としての歩行を獲得していくことが出来ます。


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 当院では片麻痺で入院されている患者さまのうち、一定の条件を満たす方を対象に、HANDS療法を施行しています。
  HANDS療法とは、機能的電気刺激装置と上肢装具を1日8時間装着し、作業療法士が作成した自主訓練を通して、日常生活で積極的に麻痺側上肢を使用するという治療法です。適応のあるケースでは通常の作業療法よりも効果があると言われていて、脳卒中治療ガイドラインでも推奨されています。
 その他、スパイダースプリントやポータブルスプリングバランサー等、課題の難易度をきめ細かく調節できる上肢機能訓練の機器や自助具を数多く取り揃えており、患者さまの機能障害の重症度に合わせて適切に訓練できる体制を構築しています。

HANDS療法の適応

1.脳卒中後遺症による片麻痺
  (SIASのKM2以上かつFF1B以上:肘の屈曲が可能で手指のわずかな伸展が可能な状態)
2.麻痺側上肢に著名な関節拘縮がない
3. 階段昇降・歩行・入浴以外のADL自立している,もしくは自立の見込みがある
4.治療の実施に影響を及ぼす認知症・高次脳機能障害・コミュニケーション障害がない
5. 12歳以上、80歳未満


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 脳卒中発症等により嚥下障害が生じて経管栄養管理となった場合、その後の回復でどの程度経口摂取が可能になるのでしょうか?回復期リハビリテーション病棟協会が行った多施設調査によると、経管栄養の状態で回復期リハ病棟に入院した脳卒中患者さまの53%は退院までに3食経口摂取可能となり、18%は一部食事摂取が可能となりました。

 摂食嚥下リハビリテーションでは、口腔ケア、栄養管理、摂食嚥下評価および訓練を包括的にバランスよく行う必要があり、どれかひとつの要素が欠けていても最善の結果は得られません。医師・看護師・ケアワーカー・言語聴覚士・管理栄養士・歯科医・歯科衛生士等のプロフェッショナルの質の高さと、多職種によるチームワークの融合が成功の鍵であると言えます。
  当院では、48床の病棟に対して医師3名・看護師20名・ケアワーカー14名・理学療法士18名・作業療法士14名、言語聴覚士6名、管理栄養士1名、薬剤師1名を病棟専従で配置しています。病棟専従体制の最大のメリットは、多職種が病棟内で顔を合わせる機会が多くなるために職種の壁が出来にくく、コミュニケーションが密になり、チーム医療の質が向上することにあります。これは摂食嚥下リハビリテーションを進める上でも大きなアドバンテージとなります。
 また、当院では胃瘻以外の経管栄養は原則として全例間欠的経管栄養法で行っており、これも経口摂取獲得の可能性をさらに引き上げています(詳細は「医学的管理」の「経管栄養の管理:間欠的経管栄養法の取り組み」のページを参照ください)。


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 大脳の損傷によって引き起こされる高次脳機能障害には、注意障害、記銘力障害、見当識障害、発動性低下、遂行機能障害、半側空間無視、構成障害、失行、失認等、様々なものがあります。高次脳機能障害のリハビリテーションでは、どのような症状がどの程度あり、それが日常生活や家事動作や職業活動にどのような影響を及ぼすのかをしっかりと評価し、問題点を克服するための対策をたてていきます。
 高次脳機能障害は、半年から長い場合では数年間かけて改善していくことがよくあります。そのような場合には入院期間内にすべての問題を解決するには至らず、退院後も外来に通いながらリハビリを継続し、回復の状況を長い目で見ていく必要があります。外来のリハビリの他に、自立支援施設での高次脳機能障害グループ訓練や就労支援や職業訓練等、より難易度の高いリハビリを併用することで、さらに高いゴールを目指せる方もいます。
 当院は、外来にも高次脳機能障害の治療を行える療法士を十分に配置し、ソーシャルワーカーを窓口として地域のリハビリテーションの資源ともしっかりと連携を取りながら包括的に治療を進めていく体制を構築しています。


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 脳卒中や脊髄損傷等の発症後に筋肉の緊張が亢進し、運動時の筋肉の過剰な収縮いわゆる「筋痙縮」が生じることがあります。筋痙縮が悪化すると関節の疼痛や変形を来し、リハビリテーションの進行に重大な影響を及ぼすことがあるため、早期からの予防や治療が大切となります。
 筋痙縮の予防・治療として、脳卒中治療ガイドラインでは以下の項目が推奨されています。
  A) 関節可動域訓練・自己ストレッチ
  B) 装具療法
  C) 物理療法
  D) 内服薬(筋弛緩薬等)
  E) モーターポイントブロック・ボツリヌス療法
  F) 外科的治療(アキレス腱延長術、バクロフェン髄注等)
 A〜Cのリハビリ訓練内のアプローチで痙縮の悪化をコントロールできない場合にはD・Eの治療を行う必要があります。モーターポイントブロック・ボツリヌス療法は医師の技量が成否を大きく左右してしまいます。当院ではリハビリテーション科専門医の指導のもと、質の高い治療を提供するように心がけています。
 外科的治療が必要な場合は連携病院に紹介し治療を受けていただいています。


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 リハビリの目的は、トイレ動作や着替えや歩行等の日常生活動作の能力を上げることだけではありません。調理・炊事・洗濯・掃除等の家事動作や屋外歩行や公共交通機関の利用、あるいは復職・復学等、生活をどこまで広げられるかを訓練しながら見極めていくこともリハビリの重要な過程となります。
 リハビリの訓練の時だけでなく、麻痺した手を日常生活の活動のなかでも使用するように心がけると、動かす機会が増えてさらに回復するという好循環が生まれます。調理や洗濯もの畳み等の家事動作は両手を使うことが多く、成し遂げた時の達成感もあるため、訓練として大変良い課題です。麻痺した手が使えない場合でも器具の工夫によって片手で調理できるようになる方もいます。当院では、自宅退院後に患者さまが自分なりの役割を持って生活をすることはとても重要であると考えており、生活訓練の環境を充実させることに力を入れています。
 また、入院中には生活訓練が十分に行えなかった患者さまが、退院後に外来リハビリや訪問リハビリを継続することで、残された課題を解決していけることがあります。当院には外来リハビリや訪問リハビリを担う療法士が十分にいますので、退院後も切れ目なく生活期のリハビリを継続していくことが出来ます。

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